WordPressの手動更新が必要なケースとは?
WordPressは、通常なら管理画面からワンクリックで簡単にアップデートできます。しかし、時には「自動更新に失敗しました」というエラーが出たり、サーバー環境の都合で管理画面からの更新がうまく機能しなかったりすることがあります。
そんな時の「最終手段」が、ファイルを手動で入れ替える「手動更新(手動アップデート)」です。少し専門的な作業に聞こえますが、手順さえ間違えなければ難しくありません。
この記事では、Webサイト運営初心者の方でも安全に作業できるよう、WordPressの手動更新手順をステップバイステップで解説します。
最重要!手動更新の前に必ず行うこと
手動更新は、サイトの根幹に関わるファイルを直接操作します。万が一の事態に備え、作業前には必ず「ファイルのバックアップ」と「データベースのバックアップ」を取得してください。
バックアップは、何かあった時に元に戻せる唯一の「命綱」です。契約しているレンタルサーバーのバックアップ機能や、プラグイン(例: 「BackWPup」など)を利用して、確実にデータを保存しておきましょう。
安全・確実!WordPress手動更新の7ステップ
バックアップが完了したら、いよいよ手動更新の作業に入ります。以下の手順に沿って、一つずつ慎重に進めていきましょう。
ステップ1: 最新のWordPressをダウンロードする
まず、WordPressの公式サイトから、最新バージョンのWordPress(zipファイル)をダウンロードし、PC上で解凍(展開)しておきます。
ステップ2: すべてのプラグインを停止する
WordPressの管理画面にログインし、インストールされているすべてのプラグインを「停止」します。
これは、新しいファイルで上書きする際に、プラグインが動作していることで予期せぬエラー(競合)が発生するのを防ぐためです。
【TIPS】どのプラグインを有効にしていたか忘れないよう、プラグイン一覧画面のスクリーンショットを撮っておくと、作業後の復旧がスムーズです。
ステップ3: 古いコアファイル・フォルダを削除する
FTPソフト(FileZillaなど)やサーバーのファイルマネージャーを使い、サーバー上にある古いWordPressのファイル・フォルダを削除します。
削除対象は、主に以下の2つのフォルダです。
wp-adminフォルダwp-includesフォルダ
(注意!)wp-content フォルダや wp-config.php ファイルは、絶対に削除しないでください。
ステップ4: 新しいファイル・フォルダをアップロード(上書き)する
ステップ1で解凍した最新のWordPressのファイル・フォルダを、サーバーにアップロードします。
具体的には、以下の作業を行います。
- PC上の「
wordpress」フォルダ(解凍したもの)を開きます。 wp-adminとwp-includesフォルダを、そのままサーバーの同じ階層(ステップ3で削除した場所)にアップロードします。- PC上の
wp-contentフォルダを開き、中にあるlanguagesフォルダだけを、サーバー上のwp-contentフォルダ内にアップロード(上書き)します。 - PC上の「
wordpress」フォルダの第一階層にあるファイル(wp-config.phpとwp-contentフォルダ以外の、index.phpやwp-login.phpなど)をすべて選択し、サーバーの同じ階層にアップロードして上書きします。
【重要】
wp-content フォルダ自体は、あなたのサイトのテーマやプラグイン、画像データが入っているため、絶対にフォルダごと上書きしてはいけません。
また、wp-config.php はデータベース接続情報などが書かれた最重要ファイルですので、これも上書きしません。(通常、最新版の wp-config-sample.php を確認し、新しい設定項目があれば手動で追記しますが、近年のアップデートでは変更がない場合がほとんどです)
ステップ5: (もしあれば) 「.maintenance」ファイルを削除する
自動更新に失敗した場合、WordPressのルートディレクトリ(index.php などがある場所)に .maintenance というファイルが残っていることがあります。
このファイルが残っているとサイトがメンテナンス中と表示され続けるため、もし存在したら削除してください。
ステップ6: データベースを更新する
ファイルの入れ替えが完了したら、WordPressの管理画面(例: http://example.com/wp-admin/)にアクセスします。
多くの場合、「データベースの更新が必要です」というメッセージが表示されます。「WordPressデータベースを更新」ボタンをクリックし、指示に従ってください。更新が完了したら「続ける」をクリックします。
※もしこの画面が表示されず、通常通りダッシュボードが表示された場合は、データベースの更新は不要(または自動で完了した)ということです。
ステップ7: プラグインを再有効化し、動作確認する
管理画面に正常にログインできたら、ステップ2で停止したプラグインをすべて「有効化」します。
最後に、Webサイトのフロントページや各記事ページが正常に表示されるか、管理画面の動作におかしな点はないかを確認して、手動更新は完了です!お疲れ様でした。
まとめ
WordPressの手動更新は、特に初心者の方にとっては緊張する作業かもしれません。しかし、「バックアップを必ず取る」「上書きするファイル・フォルダを間違えない」という2点を守れば、安全にアップデートを完了できます。
万が一のトラブルの際も、慌てずにバックアップから復元しましょう。この記事が、あなたのWebサイト運営の一助となれば幸いです。
(参考: WordPress のアップグレード – WordPress.org 日本語)
よくある質問(FAQ)
Q. 誤って wp-content フォルダも上書きしてしまいました。どうなりますか?
A. wp-content フォルダには、あなたがインストールしたテーマやプラグイン、アップロードした画像ファイルがすべて含まれています。これを上書きすると、それらのデータがすべて消え、サイトのデザインが崩れたり、画像が表示されなくなったりします。作業前に取得したバックアップから、wp-content フォルダをすぐに復元してください。
Q. データベースの更新画面が表示されませんでした。
A. すでにデータベースのバージョンが最新の場合や、ファイル更新の時点で自動的に更新が完了した場合は、更新画面は表示されません。管理画面に正常にログインでき、サイトが問題なく表示されていれば、特に心配する必要はありません。
Q. 手動更新後、サイトが真っ白になりました(エラーが出ました)。
A. まずは慌てずに、以下の点を確認してください。
- ステップ3と4で、削除・上書きしたファイルやフォルダに漏れや間違いがないか。
- ステップ7でプラグインを再有効化したタイミングで発生した場合、特定のプラグインが最新のWordPressと互換性がない可能性があります。FTPソフトで該当プラグインのフォルダ名を変更し、強制的に停止させてみてください。
それでも解決しない場合は、速やかにバックアップからサイト全体を復元することをおすすめします。