目次
概要
「Wix(ウィックス)」というWebサイト作成ツールをご存知でしょうか?専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でWebサイトが作れると人気のサービスです。
この記事では、Wixとは何か、その基本的な使い方から、他のサービスとの違い、そして利用する上での注意点(落とし穴)まで、Webサイト運営のパートナーとして詳しく解説します。
Wixとは?
Wix.com(ウィックス)は、2006年にイスラエルで設立された、クラウドベースのWebサイト作成プラットフォームです。現在では世界で1億人以上のユーザーに利用されており、ドラッグ&ドロップ操作が可能な「ホームページ作成ツール」の代表格と言えます。
無料版と有料版のサービスが展開されており、有料版では独自ドメインの設定や広告の非表示、プレミアムサポートなどが提供されます。
Webサイトを作る際に、HTMLやCSSといった専門知識は必要ありません。デザイナーが手がけた500種類以上のテンプレート、安定したWebホスティング、200種類以上のアプリや機能など、Webサイト作成に必要なツールが基本的に無料で提供されています。
参考:https://support.wix.com/ja/
要するに、「Web制作の知識がない初心者でも、感覚的な操作でプロ並みのWebサイトが作れる」世界的に人気のツールです。
WixでWebサイトを実際に作ってみよう
WixでのWebサイト作成は、主に以下の5つのステップで完了します。
- Wixに会員登録する
- サイトの目的と作成方法を選ぶ
- デザインを編集する
- ドメインを設定する
- Webサイトを公開する
ステップ1:Wixに会員登録する
まずはWixの公式サイトから会員登録を行います。メールアドレスとパスワードだけで簡単に登録できます。
新規登録はこちら:https://users.wix.com/signin
ステップ2:サイトの目的と作成方法を選ぶ
登録後、まず「どのようなWebサイトを作りたいか」を質問されます。(例:ネットショップ、ブログ、ポートフォリオなど)
この選択によって、推奨されるテンプレートや機能が絞り込まれます。(デザインは後からでも変更可能です)

次に、Webサイトの作成方法として「Wix ADI(自動作成)」か「Wix エディタ(通常編集)」かを選択します。

特に、HTMLやCSSの知識に自信がない方には「Wix ADI」が向いています。ADIを選択した場合のみ、以下のような追加の質問があります。

- どんなホームページを作成するのか(ビジネスまたはサイトの種類)
- サイトに追加したい機能(ネットショップ、オンライン予約、お問い合わせフォームなど ※後で追加・削除可能)
- ビジネス名またはサイト名
- ビジネスの所在地
- 情報の確認・追加
- スタイルの選択(デザインの方向性)
これらの質問に答えるか、チェックを入れることで、AIがあなたに最適化されたデザイン案を自動で作成してくれます。(スキップ可能な項目もあります)
ステップ3:デザインを編集する
ADIとエディタ、どちらを選んでも共通するメリット・デメリットがあります。
共通のメリット
- ドラッグ&ドロップで要素の追加や削除が簡単
- セクション(ブロック)の順番変更が直感的にできる
- Wixが提供する高品質なフリー素材(画像や動画)が豊富
- PC表示とスマートフォン(SP)表示を切り替えて確認・編集できる
- イベントの受付フォームや予約機能などを簡単に追加できる
共通のデメリット
- 日本語のWebフォントの種類が比較的少ない
- スマートフォン表示で、特定の要素だけを非表示にすることが標準機能では難しい(※カスタムコードで対応可能な場合もあり)
(補足)一般的には「Wix ADI」で大枠を作成してから、より細かい編集をするために「Wix エディタ」に切り替える、という流れが多いです。ただし、一度エディタに切り替えると、ADIに戻す際に編集内容が失われる可能性があるため注意が必要です。
「Wix ADI(自動作成)」の場合
ADIは、AIの質問に答えるだけで、サイトの土台を自動で組み上げてくれるモードです。非常に簡単ですが、カスタマイズ性に制限があります。

メリット
- AIからの質問の回答に基づき、最適なデザイン案を3パターン提案してくれる
- Webサイトの完成イメージがすぐに湧く
- 画像とテキストを入れ替えるだけですぐにサイトが完成する
- フェードインなどのシンプルなアニメーション効果を簡単に追加できる
- 英語のフォントは豊富に用意されている
- デザインのテーマを変更しても、入力したテキストや画像は保持される
デメリット
- 画像の比率(アスペクト比)を自由に変更できない
- 縦長や横長の画像を使用する際、意図した部分を表示させるのが難しい場合がある
- 要素間の余白(マージンやパディング)を細かく調整できない
- Wixが提案するデザインの枠内でしかカスタマイズできない(例:デザインに合わせた色しか選べない)
- 自分で作成したバナー画像などを、意図した通りの場所に配置するのが難しい
- 部分的な文字色の変更などがやりにくい
- フォントやアニメーションを変更すると、サイト全体の関連要素に反映されてしまう
「Wix エディタ(通常編集)」の場合
エディタは、ADIよりもはるかに自由度が高く、要素をピクセル単位で配置できる従来の編集モードです。その分、操作には少し慣れが必要です。

メリット
- ADIではできなかった細かい調整ができる(例:自由な色の選択、画像の縦横比の変更、細かな配置調整)
- 提案されるテンプレートの数が豊富で、様々なデザインを比較検討できる
- HTMLコードの埋め込み(iframe)など、より高度な機能が使える
デメリット
- エディタで編集した後にADIに戻そうとすると、エディタで行った編集内容が消えてしまう
- テンプレート元来のデザインに対し、カスタムCSSが効かない(または効きにくい)箇所がある
- カラム(列)の幅などをツールバーで設定できますが、縦横の比率調整などに一部クセがある
(例)エディタでのHTML埋め込み
Wix エディタでは、HTMLコードを埋め込む機能があります。例えば、以下のようなテーブルレイアウトもHTMLで直接記述して表示させることが可能です。
<table width="560" border="0" align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" >
<tr >
<td width="396"> </td>
<td width="160" style="text-align: right; color: #fff; font-size: 18px; padding: 8px; background: #536928; text-align: center;">
近郊施設
</td>
</tr>
<tr>
<td colspan="2" style="border:2px solid #536928; background: #536928; border-bottom: none; text-align: center;">
<img src="https://www.nemuresort.com/mail-magazine/archive/image/201901/information-img1.jpg" alt="伊勢神宮" width="556" height="280" style="vertical-align: bottom;"/>
</td>
</tr>
<tr>
<th colspan="2" style="padding: 17px 20px; border-right:2px solid #536928; border-left:2px solid #536928; text-align: left; background: #dee8cb; font-weight: bold; font-size: 22px; line-height: 1.3;">
伊勢神宮
</th>
</tr>
<tr>
<td colspan="2" style="padding: 17px 20px; border: 2px solid #536928; border-top: none; font-size: 16px; line-height: 1.4;" >
<p>地元で「お伊勢さん」と呼ばれ、古くから日本人の心のふるさととして親しまれてきた伊勢神宮。<br>
参拝者が心身を清める五十鈴川や、日常の世界から神聖な世界への架け橋と言われる宇治橋、悠久の時を感じさせる大きな杉の巨木など、参拝だけでなく心身が浄化できる場所。</p>
</td>
</tr>
</table>
▼埋め込み結果の例

ステップ4:ドメインを設定する
デザインが固まったら、画面右上の「公開」ボタンをクリックします。
公開にあたり、サイトのドメイン(URL)を設定します。

- 無料プランの場合: 「username.wixsite.com/sitename」という形式のURL(サブドメイン)が自動で割り当てられます。
- 有料プランの場合: 独自のドメイン(例:「your-company.com」)を設定できます。
※HTMLの拡張子(.html)などを任意で変更することはできません。
ステップ5:Webサイトを公開する

ドメイン設定が完了し、公開ボタンを押すと、作成したWebサイトがインターネット上に公開されます。表示されたURLにアクセスして、実際の表示をPCとスマートフォンで確認しましょう。
他のWebサイト作成サービスとの違い
Wixは多くの競合サービスとしのぎを削っています。参考までに、Googleトレンドで「Wix」「Jimdo」「Ameba Ownd」「ペライチ」「グーペ」といった主要なWebサイト作成サービスの検索人気度を比較してみましょう。
ここでは、各サービスの特徴を簡潔にまとめます。
Wix
- サイトを一時的に非公開にする際に、特に警告などが出ません。
- ドメイン取得料金は一般的な相場です。
- フォーム機能は、テンプレートに標準で組み込まれていることが多いです。
Jimdo(ジンドゥー)
- 無料プランでもブログ機能が利用できます。
- 全体的にバランスが取れており、大きな欠点が少ないサービスです。
- フォーム機能もテンプレートに標準搭載されています。
Ameba Ownd(アメーバ オウンド)
- 無料プランでも独自ドメインを接続できる点が大きな特徴です。
- 標準のフォーム機能がありません(GoogleフォームなどをHTMLタグで埋め込んで代用します)。
- Search ConsoleやGoogle アナリティクス、SNSとの連携設定が分かりやすいUIになっています。
グーペ
- SSL(https通信)を利用するには最上位プランが必須です(※2019年時点の情報)。
- 最上位プランではメルマガ配信機能が利用できます。
- テンプレートのHTMLタグを直接編集できる場合があります。
ペライチ
- OGP設定など、現代のWebサイト運営(特にSNS連携)に必要な機能に対応しています。
- フッターの「created by」というクレジット表記を削除するには最上位プランが必要です。
- プランごとにPV(ページビュー)の上限があるため、SNSなどでアクセスが急増した際は注意が必要です。
Wixを利用する上での注意点(落とし穴)
手軽で高機能なWixですが、Web制作のプロから見るといくつかの懸念点もあります。
1. 編集画面の動作が重い
Wixのエディタは高機能な反面、画像が多いページや複雑なデザインを編集する際に動作が重くなる(時間がかかる)ことがあります。特にアニメーション効果などを多用すると、顕著になる場合があります。
2. ドメイン移管のプロセスが煩雑
Wixで取得したドメインを、将来的に他の管理会社(例:お名前.comやXserverなど)に移管する際、プロセスが煩雑だという指摘があります。
ドメイン移管しようとしても、通常に住所入力すると住所の入力が誤っており修正が必要。
更に修正後、ドメイン移管を再度するには60日必要。
ドメイン関連の作業が苦手な人にとっては後作業がとても大変。
ドメイン関連の作業に不慣れな方にとっては、将来的に大きな負担となる可能性があります。
3. 電話サポートがない
Wixは基本的にメールまたはチャットでのサポートとなり、電話でのリアルタイム対応は行っていません(※一部コールバック予約などはあるようです)。
何かトラブルがあっても、メール対応しかやっていない。
もともと海外ブランドなのでサポート対応の日本語が理解に苦しむことがある。
問い合わせまでのフローがとてもわかりにくいのが更に嫌な所ではある。
緊急のトラブルが発生した際に、即時解決が難しいケースも想定されます。
まとめ
Wixは、「とにかく早く、低コストで、デザイン性の高いWebサイトを作りたい」という個人の方や、Web制作の知識に自信がない初心者の方にとって、非常に強力なツールです。
一方で、将来的にWeb制作会社に本格的な更新や機能追加を依頼したり、ドメイン移管やサーバー移行といった専門的な作業が発生したりする可能性がある場合、Wixの「手軽さ」が逆に「制約」となる場面も考えられます。
ご自身の目的と、将来的なWebサイト運営の展望を照らし合わせて、最適なツールを選びましょう。
Wixに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 本当に無料でWebサイトが作れますか?
A1. はい、Wixの無料プランでWebサイトを作成・公開すること自体は可能です。ただし、無料プランではWixの広告がサイトに表示され、ドメインもWixのサブドメイン(…wixsite.com/…)となります。ビジネス利用の場合は、広告が非表示になり独自ドメインが使える有料プラン(プレミアムプラン)へのアップグレードを推奨します。
Q2. HTMLやCSSを自分で編集することはできますか?
A2. 「Wix エディタ」では、HTMLコードを埋め込む機能(iframe)はありますが、既存のテンプレートを構成するHTMLやCSSのソースコードを直接編集することは基本的にできません。そのため、デザインの細部にわたるカスタマイズには限界があります。完全なカスタマイズ性を求める場合は、WordPressなど他のCMSを検討する方が良いでしょう。
Q3. Wixで作ったWebサイトはSEOに弱いと聞きましたが、本当ですか?
A3. 以前は「WixはSEOに弱い」と言われることもありましたが、現在ではWix側もSEO機能を大幅に強化しています(Wix SEO Wizなど)。タイトルタグ、メタディスクリプションの設定、altタグの編集、URLのカスタマイズなど、基本的なSEO対策はWix上で行うことが可能です。SEOの成果はツールの問題だけでなく、コンテンツの質や適切なキーワード戦略が最も重要です。