WixでのWebサイト作成ガイド:ADIとエディタの違い、注意点も解説

2019.02.25

目次

概要

「Wix(ウィックス)」というWebサイト作成ツールをご存知でしょうか?専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でWebサイトが作れると人気のサービスです。

この記事では、Wixとは何か、その基本的な使い方から、他のサービスとの違い、そして利用する上での注意点(落とし穴)まで、Webサイト運営のパートナーとして詳しく解説します。

Wixとは?

Wix.com(ウィックス)は、2006年にイスラエルで設立された、クラウドベースのWebサイト作成プラットフォームです。現在では世界で1億人以上のユーザーに利用されており、ドラッグ&ドロップ操作が可能な「ホームページ作成ツール」の代表格と言えます。

無料版と有料版のサービスが展開されており、有料版では独自ドメインの設定や広告の非表示、プレミアムサポートなどが提供されます。

Webサイトを作る際に、HTMLやCSSといった専門知識は必要ありません。デザイナーが手がけた500種類以上のテンプレート、安定したWebホスティング、200種類以上のアプリや機能など、Webサイト作成に必要なツールが基本的に無料で提供されています。

参考:https://support.wix.com/ja/

要するに、「Web制作の知識がない初心者でも、感覚的な操作でプロ並みのWebサイトが作れる」世界的に人気のツールです。

WixでWebサイトを実際に作ってみよう

WixでのWebサイト作成は、主に以下の5つのステップで完了します。

  1. Wixに会員登録する
  2. サイトの目的と作成方法を選ぶ
  3. デザインを編集する
  4. ドメインを設定する
  5. Webサイトを公開する

ステップ1:Wixに会員登録する

まずはWixの公式サイトから会員登録を行います。メールアドレスとパスワードだけで簡単に登録できます。

新規登録はこちら:https://users.wix.com/signin

ステップ2:サイトの目的と作成方法を選ぶ

登録後、まず「どのようなWebサイトを作りたいか」を質問されます。(例:ネットショップ、ブログ、ポートフォリオなど)

この選択によって、推奨されるテンプレートや機能が絞り込まれます。(デザインは後からでも変更可能です)

Wix サイトの目的を選択する画面

次に、Webサイトの作成方法として「Wix ADI(自動作成)」か「Wix エディタ(通常編集)」かを選択します。

Wix ADIとWixエディタの選択画面

特に、HTMLやCSSの知識に自信がない方には「Wix ADI」が向いています。ADIを選択した場合のみ、以下のような追加の質問があります。

Wix ADIの質問画面

  • どんなホームページを作成するのか(ビジネスまたはサイトの種類)
  • サイトに追加したい機能(ネットショップ、オンライン予約、お問い合わせフォームなど ※後で追加・削除可能)
  • ビジネス名またはサイト名
  • ビジネスの所在地
  • 情報の確認・追加
  • スタイルの選択(デザインの方向性)

これらの質問に答えるか、チェックを入れることで、AIがあなたに最適化されたデザイン案を自動で作成してくれます。(スキップ可能な項目もあります)

ステップ3:デザインを編集する

ADIとエディタ、どちらを選んでも共通するメリット・デメリットがあります。

共通のメリット

  • ドラッグ&ドロップで要素の追加や削除が簡単
  • セクション(ブロック)の順番変更が直感的にできる
  • Wixが提供する高品質なフリー素材(画像や動画)が豊富
  • PC表示とスマートフォン(SP)表示を切り替えて確認・編集できる
  • イベントの受付フォームや予約機能などを簡単に追加できる

共通のデメリット

  • 日本語のWebフォントの種類が比較的少ない
  • スマートフォン表示で、特定の要素だけを非表示にすることが標準機能では難しい(※カスタムコードで対応可能な場合もあり)

(補足)一般的には「Wix ADI」で大枠を作成してから、より細かい編集をするために「Wix エディタ」に切り替える、という流れが多いです。ただし、一度エディタに切り替えると、ADIに戻す際に編集内容が失われる可能性があるため注意が必要です。

「Wix ADI(自動作成)」の場合

ADIは、AIの質問に答えるだけで、サイトの土台を自動で組み上げてくれるモードです。非常に簡単ですが、カスタマイズ性に制限があります。

Wix ADIの編集画面

メリット
  • AIからの質問の回答に基づき、最適なデザイン案を3パターン提案してくれる
  • Webサイトの完成イメージがすぐに湧く
  • 画像とテキストを入れ替えるだけですぐにサイトが完成する
  • フェードインなどのシンプルなアニメーション効果を簡単に追加できる
  • 英語のフォントは豊富に用意されている
  • デザインのテーマを変更しても、入力したテキストや画像は保持される
デメリット
  • 画像の比率(アスペクト比)を自由に変更できない
  • 縦長や横長の画像を使用する際、意図した部分を表示させるのが難しい場合がある
  • 要素間の余白(マージンやパディング)を細かく調整できない
  • Wixが提案するデザインの枠内でしかカスタマイズできない(例:デザインに合わせた色しか選べない)
  • 自分で作成したバナー画像などを、意図した通りの場所に配置するのが難しい
  • 部分的な文字色の変更などがやりにくい
  • フォントやアニメーションを変更すると、サイト全体の関連要素に反映されてしまう

「Wix エディタ(通常編集)」の場合

エディタは、ADIよりもはるかに自由度が高く、要素をピクセル単位で配置できる従来の編集モードです。その分、操作には少し慣れが必要です。

Wix エディタの編集画面

メリット
  • ADIではできなかった細かい調整ができる(例:自由な色の選択、画像の縦横比の変更、細かな配置調整)
  • 提案されるテンプレートの数が豊富で、様々なデザインを比較検討できる
  • HTMLコードの埋め込み(iframe)など、より高度な機能が使える
デメリット
  • エディタで編集した後にADIに戻そうとすると、エディタで行った編集内容が消えてしまう
  • テンプレート元来のデザインに対し、カスタムCSSが効かない(または効きにくい)箇所がある
  • カラム(列)の幅などをツールバーで設定できますが、縦横の比率調整などに一部クセがある
(例)エディタでのHTML埋め込み

Wix エディタでは、HTMLコードを埋め込む機能があります。例えば、以下のようなテーブルレイアウトもHTMLで直接記述して表示させることが可能です。

<table width="560" border="0" align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" >
<tr >
<td width="396">&ensp;</td>
<td width="160" style="text-align: right; color: #fff; font-size: 18px; padding: 8px; background: #536928; text-align: center;">
近郊施設
</td>
</tr>
<tr>
<td colspan="2" style="border:2px solid #536928; background: #536928; border-bottom: none; text-align: center;">
<img src="https://www.nemuresort.com/mail-magazine/archive/image/201901/information-img1.jpg" alt="伊勢神宮" width="556" height="280" style="vertical-align: bottom;"/>
</td>
</tr>
<tr>
<th colspan="2" style="padding: 17px 20px; border-right:2px solid #536928; border-left:2px solid #536928; text-align: left; background: #dee8cb; font-weight: bold; font-size: 22px; line-height: 1.3;">
伊勢神宮
</th>
</tr>
<tr>
<td colspan="2" style="padding: 17px 20px; border: 2px solid #536928; border-top: none; font-size: 16px; line-height: 1.4;" >
<p>地元で「お伊勢さん」と呼ばれ、古くから日本人の心のふるさととして親しまれてきた伊勢神宮。<br>
参拝者が心身を清める五十鈴川や、日常の世界から神聖な世界への架け橋と言われる宇治橋、悠久の時を感じさせる大きな杉の巨木など、参拝だけでなく心身が浄化できる場所。</p>
</td>
</tr>
</table>

▼埋め込み結果の例

HTMLテーブルの埋め込み例

ステップ4:ドメインを設定する

デザインが固まったら、画面右上の「公開」ボタンをクリックします。

公開にあたり、サイトのドメイン(URL)を設定します。

Wix ドメイン設定画面

  • 無料プランの場合: 「username.wixsite.com/sitename」という形式のURL(サブドメイン)が自動で割り当てられます。
  • 有料プランの場合: 独自のドメイン(例:「your-company.com」)を設定できます。

※HTMLの拡張子(.html)などを任意で変更することはできません。

ステップ5:Webサイトを公開する

Wix サイト公開完了画面

ドメイン設定が完了し、公開ボタンを押すと、作成したWebサイトがインターネット上に公開されます。表示されたURLにアクセスして、実際の表示をPCとスマートフォンで確認しましょう。

他のWebサイト作成サービスとの違い

Wixは多くの競合サービスとしのぎを削っています。参考までに、Googleトレンドで「Wix」「Jimdo」「Ameba Ownd」「ペライチ」「グーペ」といった主要なWebサイト作成サービスの検索人気度を比較してみましょう。

参考:Google トレンド 比較(過去5年間・日本)

ここでは、各サービスの特徴を簡潔にまとめます。

Wix

  • サイトを一時的に非公開にする際に、特に警告などが出ません。
  • ドメイン取得料金は一般的な相場です。
  • フォーム機能は、テンプレートに標準で組み込まれていることが多いです。

Jimdo(ジンドゥー)

  • 無料プランでもブログ機能が利用できます。
  • 全体的にバランスが取れており、大きな欠点が少ないサービスです。
  • フォーム機能もテンプレートに標準搭載されています。

Ameba Ownd(アメーバ オウンド)

  • 無料プランでも独自ドメインを接続できる点が大きな特徴です。
  • 標準のフォーム機能がありません(GoogleフォームなどをHTMLタグで埋め込んで代用します)。
  • Search ConsoleやGoogle アナリティクス、SNSとの連携設定が分かりやすいUIになっています。

グーペ

  • SSL(https通信)を利用するには最上位プランが必須です(※2019年時点の情報)。
  • 最上位プランではメルマガ配信機能が利用できます。
  • テンプレートのHTMLタグを直接編集できる場合があります。

ペライチ

  • OGP設定など、現代のWebサイト運営(特にSNS連携)に必要な機能に対応しています。
  • フッターの「created by」というクレジット表記を削除するには最上位プランが必要です。
  • プランごとにPV(ページビュー)の上限があるため、SNSなどでアクセスが急増した際は注意が必要です。

Wixを利用する上での注意点(落とし穴)

手軽で高機能なWixですが、Web制作のプロから見るといくつかの懸念点もあります。

1. 編集画面の動作が重い

Wixのエディタは高機能な反面、画像が多いページや複雑なデザインを編集する際に動作が重くなる(時間がかかる)ことがあります。特にアニメーション効果などを多用すると、顕著になる場合があります。

2. ドメイン移管のプロセスが煩雑

Wixで取得したドメインを、将来的に他の管理会社(例:お名前.comやXserverなど)に移管する際、プロセスが煩雑だという指摘があります。

ドメイン移管しようとしても、通常に住所入力すると住所の入力が誤っており修正が必要。
更に修正後、ドメイン移管を再度するには60日必要。
ドメイン関連の作業が苦手な人にとっては後作業がとても大変。

ドメイン関連の作業に不慣れな方にとっては、将来的に大きな負担となる可能性があります。

3. 電話サポートがない

Wixは基本的にメールまたはチャットでのサポートとなり、電話でのリアルタイム対応は行っていません(※一部コールバック予約などはあるようです)。

何かトラブルがあっても、メール対応しかやっていない。
もともと海外ブランドなのでサポート対応の日本語が理解に苦しむことがある。
問い合わせまでのフローがとてもわかりにくいのが更に嫌な所ではある。

緊急のトラブルが発生した際に、即時解決が難しいケースも想定されます。

まとめ

Wixは、「とにかく早く、低コストで、デザイン性の高いWebサイトを作りたい」という個人の方や、Web制作の知識に自信がない初心者の方にとって、非常に強力なツールです。

一方で、将来的にWeb制作会社に本格的な更新や機能追加を依頼したり、ドメイン移管やサーバー移行といった専門的な作業が発生したりする可能性がある場合、Wixの「手軽さ」が逆に「制約」となる場面も考えられます。

ご自身の目的と、将来的なWebサイト運営の展望を照らし合わせて、最適なツールを選びましょう。

Wixに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 本当に無料でWebサイトが作れますか?

A1. はい、Wixの無料プランでWebサイトを作成・公開すること自体は可能です。ただし、無料プランではWixの広告がサイトに表示され、ドメインもWixのサブドメイン(…wixsite.com/…)となります。ビジネス利用の場合は、広告が非表示になり独自ドメインが使える有料プラン(プレミアムプラン)へのアップグレードを推奨します。

Q2. HTMLやCSSを自分で編集することはできますか?

A2. 「Wix エディタ」では、HTMLコードを埋め込む機能(iframe)はありますが、既存のテンプレートを構成するHTMLやCSSのソースコードを直接編集することは基本的にできません。そのため、デザインの細部にわたるカスタマイズには限界があります。完全なカスタマイズ性を求める場合は、WordPressなど他のCMSを検討する方が良いでしょう。

Q3. Wixで作ったWebサイトはSEOに弱いと聞きましたが、本当ですか?

A3. 以前は「WixはSEOに弱い」と言われることもありましたが、現在ではWix側もSEO機能を大幅に強化しています(Wix SEO Wizなど)。タイトルタグ、メタディスクリプションの設定、altタグの編集、URLのカスタマイズなど、基本的なSEO対策はWix上で行うことが可能です。SEOの成果はツールの問題だけでなく、コンテンツの質や適切なキーワード戦略が最も重要です。

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