Vue.js入門:jQueryとの違いから学ぶ!Web制作者のための基礎知識

Vue.js入門:jQueryとの違いから学ぶ!Web制作者のための基礎知識

はじめに

最近よく耳にする「Vue.js」ですが、Web上には多くの情報が公開されています。しかし、JavaScript初学者の方にとっては、難しい説明も少なくありません。

そこで今回は、Vue.jsの概要(さわり)だけを、なるべくイメージしやすいように解説します。特に、多くのWeb制作者が慣れ親しんでいるjQueryと比較しながら、Vue.jsの特徴に迫ります。

Vue.jsとは?

まず、Vue.jsの公式サイトでは以下のように説明されています。

Vue (発音は / v j u ː / 、 view と同様)はユーザーインターフェイスを構築するためのプログレッシブフレームワークです。他の一枚板(モノリシック: monolithic)なフレームワークとは異なり、Vue は少しずつ適用していけるように設計されています。中核となるライブラリは view 層だけに焦点を当てています。そのため、使い始めるのも、他のライブラリや既存のプロジェクトに統合するのも、とても簡単です。また、モダンなツールやサポートライブラリと併用することで、洗練されたシングルページアプリケーションの開発も可能です。

Vue.js 公式サイトより

分類としては、Vue.jsはJavaScriptのフレームワークの一種です。React.js、Angular.jsと並び、「三大フレームワーク」と呼ばれることもあります。

参考:ライブラリとフレームワークの違い

ここで「ライブラリ」と「フレームワーク」の違いについて触れておきます。この2つの言葉は混同されがちですが、一般的に以下のようなイメージで区別されます。

フレームワーク:
ソフトウェア開発における「枠組み」や「骨組み」のこと。全体の設計図があらかじめ決まっており、開発者はそのルール(骨組み)に従って必要なコードを追加していきます。(例:WordPressはPHPフレームワークの一種と捉えることもできます)

ライブラリ:
特定の機能を実現するための、便利なプログラム(関数やクラス)の「部品箱」のようなもの。開発者は必要な部品(ライブラリ)を呼び出して使用します。(例:jQueryは代表的なライブラリで、「クリックイベント」などを短いコードで簡単に実装できます)

※ただし、これらの言葉の定義は時代や文脈によって変わるため、あくまで一つの目安として捉えてください。

JavaScript三大フレームワークの比較

Vue.js以外の主要なフレームワークについても簡単に特徴を見てみましょう。

  • Angular.js
    • Googleが開発したフレームワークです。
    • 機能がすべて揃った「フルスタック」であり、大規模な本格開発に向いています。開発ルールを厳密に定めてチームで開発するSI開発などでよく用いられます。
    • 機能が豊富な分、学習コストは高めで、定期的なバージョンアップで仕様が変わることもあるため、技術的なキャッチアップが継続的に必要です。
  • React.js
    • Facebook(現Meta)が中心となって開発している「ライブラリ」(フレームワーク寄り)です。
    • Angular.jsよりは導入しやすく、Vue.jsよりは大規模で複雑なアプリケーションに向いているとされます。
    • 比較的ルールが明確で、Javaなど他の言語経験者にも好まれる傾向がありますが、Vue.jsに比べると学習コストはやや高めです。
  • Vue.js
    • 特定の企業ではなく、コミュニティベースで開発が進められているフレームワークです。
    • エンジニア主体で開発されているためドキュメントが充実しており、特に日本語の情報が多いのが特徴です。
    • 学習コストが低く、jQueryのように手軽に導入できる「とっつきやすさ」と、React.jsやAngular.jsのような本格的な開発にも対応できる「拡張性」を併せ持っています。

それぞれに適材適所がありますが、Web制作の現場で部分的にリッチなUI(ユーザーインターフェイス)を実装したい、といったニーズには、導入が手軽なVue.jsが選ばれやすい傾向にあります。

Vue.jsとjQueryの比較

jQueryの特徴と限界

Web制作者におなじみのjQueryは、DOM(※)操作に特化したライブラリです。HTMLの一部を少し変更する程度であれば、非常に手軽で便利です。
(※DOM: Document Object Modelの略。HTMLの要素をJavaScriptから操作するための仕組み)

しかし、jQueryは「この要素をクリックしたら、あの要素の表示を変える」といった直接的なDOM操作が基本です。そのため、ページのUIが複雑になり、複数の要素が連携し始めると、以下のような問題が起こりがちです。

  • データの整合性を保つのが難しい(例:同じデータを表示するはずの複数箇所の更新漏れ)。
  • コードが複雑化し、全体の管理が大変になる。

もちろん、シンプルなWebサイトであればjQueryは今でも十分強力ですが、より複雑なことをしようとすると管理が難しくなる側面があります。

Vue.jsでできること(参考記事)

Vue.jsは、jQueryが苦手とする「データの管理」と「UIの連携」を非常に得意としています。データ(状態)が変われば、そのデータを使っているHTML部分が自動的に更新される(リアクティブシステム)のが最大の特徴です。

具体的にどのようなことができるかは、以下の記事などが参考になります。

環境構築の手軽さ

Vue.jsは「フレームワーク」と聞くと大掛かりな環境構築が必要に思えるかもしれませんが、jQueryと同じようにCDN(インターネット上のファイルを読み込む仕組み)を使って手軽に利用開始できます。

jQueryの場合:

<script src="https://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/3.x.x/jquery.min.js"></script>

Vue.jsの場合:

<script src="https://unpkg.com/vue@2.x.x"></script>

このように、HTMLファイルに1行追加するだけでVue.jsを使い始めることができます。

Vue.jsが注目される理由

Vue.jsが多くのWeb制作者に注目されている理由は、この「ちょうどよさ」にあると考えられます。

  • jQueryのようにCDNで手軽に導入できる。
  • 既存のWebサイト(jQueryと共存も可能)に、特定のページだけVue.jsを導入できる。
  • 他のフレームワークに比べて学習コストが低い。
  • 小規模な導入から始めつつ、将来的に複雑な機能を追加したくなった場合にも対応できる拡張性がある。
  • 公式ドキュメントが分かりやすく、Qiitaなどの技術記事も豊富にある。

まずは試してみよう(サンプルコード紹介)

実際にVue.jsがどのように動作するのか、以下のサンプルコードで体験してみてください。Web上で直接コードを編集して試すことができます。

Vue.jsの所感と使い所

学習してみた所感(jQuery比較)

jQueryに慣れた視点からVue.jsを学習してみると、以下のような利点を感じました。

  • HTML(見た目)とJavaScript(処理)が分離されており、コードの可読性が高い。
  • Vue.jsがデータの整合性を管理してくれるため、開発者はDOM操作やHTML構造の整合性を細かく気にする必要がない。
    (※jQueryでは、<ul> の中に <li> を追加する際など、HTML構造を意識したコード記述が必要)
  • イベント処理がコンポーネント(部品)ごとにまとまっており、処理の順番などを過度に意識しなくてよい。

Vue.jsのおすすめな使い所

Vue.jsは非常に汎用性が高いですが、あえて使い所を挙げるとすると以下のようになります。

  • jQueryで十分なケース:
    単発のアニメーション(フェードインなど)であれば、jQueryの方が手軽です。検索エンジンで調べてコピー&ペーストですぐに使えるコードの豊富さは、jQueryの大きな強みです。
  • Vue.jsが適しているケース:
    複数の機能が連携するUIを新規で作成する場合におすすめです。

    (例:入力フォーム。入力値の取得、バリデーションチェック、リアルタイムな表示切替、送信処理、削除処理などが絡み合うもの)

  • 将来性を考えるケース:
    今はシンプルでも、将来的に機能追加で複雑化することが予想される場合は、最初からVue.jsで構築しておくと、後の管理が楽になる可能性が高いです。
  • 凝ったアニメーション:
    既存のライブラリではなく、オリジナルの凝ったアニメーションや画面遷移を実装したい場合にもVue.jsは強力です。

まとめ

Vue.jsは、jQueryの手軽さとモダンなフレームワークの強力なデータ管理能力を併せ持った、Web制作者にとって非常に強力なツールです。まずはCDNで読み込んで、Webサイトの小さなパーツからVue.js化してみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

Q1. Vue.jsを学ぶには、まず何をすればよいですか?

A1. まずは公式サイトのドキュメントを読むことをおすすめします。日本語ドキュメントが充実しており、ガイドやチュートリアルが整備されています。その後、本記事で紹介したようなCDNを使って、既存のHTMLファイルにVue.jsを読み込ませ、簡単なデータ表示やイベント処理から試してみると良いでしょう。

Q2. jQueryで作られた既存のWebサイトに、Vue.jsを追加で導入することはできますか?

A2. はい、可能です。Vue.jsは既存のプロジェクトに少しずつ導入できるように設計されています。jQueryとVue.jsは共存できるため、例えばWebサイト内の一部分(お問い合わせフォームなど)だけをVue.jsで構築し、他の部分はjQueryを使い続ける、といった使い方ができます。

Q3. Vue.jsとReact.jsは、どちらを先に学ぶべきですか?

A3. どちらも優れた技術ですが、一般的にVue.jsの方が学習コストが低いと言われています。Vue.jsはHTMLに近いテンプレート構文を採用しており、jQueryに慣れたWeb制作者にとっては比較的理解しやすい構造です。まずはVue.jsでコンポーネントベースの開発に慣れ、その後で必要に応じてReact.jsを学ぶというステップもおすすめです。

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