Stylelintの基本的な使い方。導入から自動修正までをWeb制作者が徹底解説

Webサイト制作において、CSSはデザインの要です。しかし、プロジェクトが大きくなったり、複数人で作業したりすると、コードの書き方がバラバラになりがちです。「インデントが揃っていない」「不要なルールが残っている」「全角スペースが混じっている」…そんな経験はありませんか?

そんなCSSの「秩序」を守ってくれるのが、今回ご紹介する「Stylelint(スタイルリント)」です。

Stylelintとは? CSSの「コード検査官」

Stylelintは、CSSのコードをチェック(Lint=リント)するためのツールです。あらかじめ設定した「ルール」に基づき、コードがそのルールに違反していないかを自動で検査してくれます。

例えるなら、CSSコード専門の「交通ルール検査官」のようなものです。記述ミス(速度違反)や、非推奨な書き方(一時停止無視)を見つけ出し、警告してくれます。さらに、軽微な違反であれば自動で修正(自動運転で補正)までしてくれる、非常に賢いツールです。

Stylelintを導入するメリット

  • コードの品質と一貫性の担保
    チーム開発でも「Aさんはインデントがタブ、Bさんはスペース2つ」といったバラツキを防ぎ、統一された読みやすいコードを維持できます。
  • エラーの早期発見
    「閉じカッコが足りない」「プロパティ名が間違っている」といった単純な構文エラーを、ブラウザで確認する前に発見できます。
  • メンテナンス性の向上
    ルールに沿ったきれいなコードは、未来の自分や他のメンバーが修正する際の手間を大幅に削減します。

Stylelint導入の前提条件

Stylelintは「Node.js(ノード・ジェイエス)」という環境で動作します。導入には、Node.jsに含まれる「npm(エヌピーエム)」というパッケージ管理ツールを使用します。

ご自身のPCにNode.jsがインストールされているか不明な場合は、PCの「ターミナル」(Windowsでは「コマンドプロンプト」や「PowerShell」)を開き、以下のコマンドをそれぞれ実行してみてください。

node -v
npm -v

v18.18.0 のようにバージョン番号が表示されれば準備OKです。もしエラーになる場合は、先にNode.jsの公式サイトからインストーラーをダウンロードして、インストールを済ませておきましょう。

Stylelintの導入・設定手順

それでは、実際にStylelintを導入する手順を見ていきましょう。先ほどと同じく、ターミナルで作業を進めます。

Step 1: プロジェクトの初期化とStylelintのインストール

まず、あなたのWebサイトのプロジェクトフォルダ(CSSファイルなどを置いている場所)にターミナルで移動します。

次に、以下のコマンドを実行して、プロジェクト管理ファイル package.json を作成します。(すでにある場合は不要です)

npm init -y

続いて、Stylelint本体と、一般的な推奨ルールをまとめた設定パック stylelint-config-standard をインストールします。

npm install stylelint stylelint-config-standard --save-dev

Step 2: Stylelint設定ファイルの作成

次に、どのようなルールでチェックするかをStylelintに教えるための設定ファイルを作成します。プロジェクトのルート(package.json と同じ階層)に、**stylelint.config.js** という名前のファイルを作成し、以下の内容を記述してください。

【ポイント】JSON形式のファイル(.stylelintrc.json)も使用可能ですが、近年ではコメントの記述やより柔軟な設定が可能な **JavaScript形式(stylelint.config.js)** が主流になりつつあります。

module.exports = {
  extends: 'stylelint-config-standard',
  // 必要に応じてrulesなどを追加
};

これは、「先ほどインストールした stylelint-config-standard のルールを基本ルールとして使います」という宣言になります。

※弊社では、この標準ルールをベースに、プロパティの並べ替えを追加するなど、さらに独自のコーディング規約に合わせてカスタマイズしたルールセットを使用しています。独自のルール設定にご興味のある方は、「stylelint ルール」で検索して、ご自身の環境に合わせたカスタマイズに挑戦してみてください。

Step 3: 実行スクリプトを package.json に登録

Stylelintを簡単に実行できるように、package.json に専用の命令(スクリプト)を登録します。package.json を開き、"scripts" という項目を以下のように編集(または追加)してください。

【重要】"lint:style""fix:style" の値(パス)は、ご自身のプロジェクトでCSS(またはSCSS)ファイルを置いている場所に合わせて書き換えてください。

例:src/scss/ フォルダ内の全ての .scss ファイルを対象にする場合

{
  "scripts": {
    "lint:style": "stylelint \"src/scss/**/*.scss\"",
    "fix:style": "stylelint \"src/scss/**/*.scss\" --fix"
  }
}

これで準備は完了です。

Step 4: Stylelintの実行(チェックと自動修正)

ターミナルで以下のコマンドを実行してみましょう。

▼ ルール違反がないかチェックする

npm run lint:style

ルールに違反している箇所が見つかると、ターミナルに「何行目のどの記述が問題か」が一覧で表示されます。

▼ 可能な範囲で自動修正する

npm run fix:style

インデントのズレや不要なスペースなど、Stylelintが自動で修正できる問題を一括で直してくれます。非常に便利ですので、ぜひ活用してください。

まとめ

今回は、CSSのコード品質を保つ「Stylelint」の導入手順をご紹介しました。最初はルール違反の警告がたくさん出て驚くかもしれませんが、一つひとつ修正していくことで、確実に読みやすく保守性の高いコードが身につきます。

きれいなコードは、将来の自分自身を助けることにもつながります。ぜひStylelintを導入して、快適なCSSコーディング環境を手に入れましょう!

よくある質問(FAQ)

Q1. SCSSやSassでもStylelintは使えますか?

A1. はい、使えます。SCSSの構文に対応させるためには、追加のパッケージ(例: stylelint-config-standard-scss)をインストールし、stylelint.config.js でそれを指定する必要があります。基本的な導入方法はCSSの場合と同じです。

Q2. Prettier(フォーマッター)との違いは何ですか?

A2. 良い質問です。Prettierはコードの「見た目(スタイル)」、例えばインデントや改行、引用符の種類などを統一するフォーマッター(整形ツール)です。
一方、Stylelintはコードの「品質」、例えば構文エラーや非推奨な書き方(例: !important の使用)をチェックするリンター(検査ツール)です。
両者は役割が異なるため、組み合わせて使うのが一般的です。その際は、ルールが競合しないよう調整する設定(例: stylelint-config-prettier)も利用されます。

Q3. ルールを独自にカスタマイズしたい場合はどうすればよいですか?

A3. stylelint.config.js ファイルに "rules" プロパティを追加することで、標準ルールを上書きしたり、無効にしたりできます。例えば、「インデントはスペース4つ」に変更したい場合や、「特定のルールだけは無視したい」場合(例: "selector-class-pattern": null)に便利です。

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