Figmaとは? Photoshop・Sketchとの違いを比較【Webデザインツール】

2019.05.28

はじめに:Webデザイン現場のコミュニケーション課題

Webサイトのデザイン制作や運用において、こんな課題はありませんか?

  • PhotoshopやSketchで作成したデザインに修正指示を入れたい。
  • 既存のWebサイトの特定箇所を修正してほしい。

このような時、ディレクターやコーダーはスクリーンショットを撮って指示を書き込んだり、口頭で伝えたりすることが多いでしょう。デザイナーも、バナーの差し替えのような軽微な修正のために、動作の重いPhotoshopを起動しているかもしれません。

「修正指示が来るたびに、同じページのスクリーンショットを撮るのは面倒だ…」
「テキストを1行直すだけなのに、重いデザインファイルを開くのは非効率だ…」

今回は、こうしたWeb制作現場の課題を解決してくれる可能性を秘めたデザインツール「Figma(フィグマ)」について、その特徴とメリットをご紹介します。

特に、当社でも利用シーンの多いPhotoshopやSketchと比較しながら、Figmaがどのようなツールなのか、無料版でどこまでできるのかを詳しく見ていきましょう。

Figmaとは?

Figmaとは、ブラウザ上でデザイン、プロトタイピング、そしてフィードバックまでを一貫して行えるクラウドベースのデザインツールです。

登場からまだ10年未満ですが、その利便性の高さから急速にユーザーを増やしています。(以前は「Figma」と検索するとフィギュア関連のサイトが上位表示されがちでしたが、現在では「Figma」だけでデザインツールとして広く認知されています。)

アカウント登録も、Gmailアドレス(またはメールアドレス)とパスワード、ご自身の職種(デザイナー、ディレクターなど)を選択するだけで簡単です。

Figmaの最大の特徴は、「共通のURL(画面)でリアルタイムに同時編集ができる」点です。これにより、デザイナーが作業している横で、ディレクターがコメントを残したり、コーダーが実装に必要な情報を確認したりといった、効率的な共同作業が実現します。

また、簡単なプロトタイプ(画面遷移)のアニメーションも追加でき、横スライドやクリック時の動作を実際のWebサイトのように確認することも可能です。

データ移行に関しても、SketchのデータはFigmaで直接開くことができます。Photoshop(.psd)のデータは直接開けませんが、Avocodeなどの連携ツールを経由することでFigmaに取り込めます。

PhotoshopやSketchとの比較

Figma、Photoshop、Sketchの3つを、Web制作の現場で特に重要となる以下の4つの観点で比較してみましょう。

価格(プラン)

各ツールの料金体系を比較します(2025年10月現在の情報)。

ツール名 プラン(主なもの) 価格
Sketch Standard $120/年(編集者1人あたり)
Photoshop 単体プラン 2,728円/月(税込)
Figma スターター(無料) 無料
プロフェッショナル $12/月(年払い時、編集者1人あたり)
オーガニゼーション $45/月(年払い時、編集者1人あたり)

PhotoshopやSketchが基本的に有料であるのに対し、Figmaは無料の「スターター」プランが用意されている点が大きな特徴です。

無料プランでも、個人で利用する範囲ではほとんどの主要機能が使えます。チームでの利用(複数人での編集)には制限がありますが、「まずFigmaを試してみたい」という初心者の方には最適です。

チームでの本格的な利用を考えると、FigmaのプロフェッショナルプランやオーガニゼーションプランはSketchやPhotoshopと同等か、チームの規模によっては高額になる場合もあります。しかし、Figmaは「閲覧者(Viewer)」アカウントは無料なため、デザイナー以外のディレクターやクライアントが確認するだけならコストはかかりません。

Figmaの主なプランと権限

Figmaの共同作業における権限(パーミッション)は、プランによって異なります。

プラン 編集者(Editor)の制限 ファイル共有・権限 所有権
スターター(無料) チーム内のファイルは3つまで
(個人ファイルは無制限)
URLを知っていれば誰でも閲覧可能(設定変更可) 個人
プロフェッショナル 無制限 ファイルごとに細かく権限設定が可能 個人
オーガニゼーション 無制限 組織全体で厳密な権限管理が可能 組織(会社)

無料プランでも、個人の「下書きファイル」では無制限に編集者を招待できます。小規模なプロジェクトであれば、無料プランでも十分に活用できるでしょう。

対応OS

Windows Mac ブラウザ
Sketch × △(閲覧のみ)
Photoshop △(簡易版のみ)
Figma ◎(全機能)

Figmaはブラウザベースで動作するため、WindowsとMacのどちらでも全機能を利用できます。これは、SketchがMac専用であることと比較して大きなメリットです。

クライアントやチームメンバーが異なるOSを使用していても、Figmaであれば閲覧や編集のために環境を揃える必要がありません。

動作の軽さ

ツールの起動や操作時の軽快さの一般的な比較です。

(重い)Photoshop > Sketch ≒ Figma(軽い)

Photoshopは写真編集やレタッチなど多機能な分、起動や動作が重くなる傾向があります。一方、FigmaやSketchはUIデザインなどに機能を絞っているため、比較的軽快に動作します。特にFigmaはブラウザで動作するため、PCへのインストールも不要です(デスクトップアプリ版もあります)。

書き出し形式

Sketch PNG, JPG, TIFF, WebP, PDF, EPS, SVG
Photoshop PSD, PSB, JPEG, PNG, TIFF, PDF, GIF など多数
Figma PNG, JPG, SVG, PDF

FigmaはWeb上で動作し、データはクラウドに自動保存されるため、Photoshopの「.psdファイル」のようにローカルでファイルを管理する必要は基本的にありません。(ローカルに「.fig」ファイルとして保存することも可能です)

画像の書き出し(エクスポート)形式は、Photoshopに比べると少ないですが、Webサイト制作で使用するPNG, JPG, SVGの3形式には標準で対応しており、実務で困ることは少ないでしょう。

ただし、クライアントから「デザインカンプ全体をPDFで欲しい」「Photoshopデータで納品してほしい」と指定されるケースもまだ多いです。そのような場合は、Figmaでデザインしつつ、最終的にPhotoshopで納品用データを作成する、といった柔軟な対応が求められることもあります。

まとめ

Figmaは、特にWebサイト制作における「修正指示」や「情報共有」の効率を劇的に改善するデザインツールです。

ブラウザで動作するためOSを選ばず、無料プランから始められる手軽さも魅力です。クライアントにデザインを確認してもらう際も、URLを共有するだけでリアルタイムにフィードバックをもらえます(その際、クライアント側のアカウント作成は必要です)。

これまでPhotoshopやSketchをメインで使ってきた方も、まずは無料のスタータープランから、Figmaの快適なコラボレーション機能を体験してみてはいかがでしょうか。

Figmaに関するよくある質問(FAQ)

Q1. Figmaの無料プラン(スターター)で、具体的にどこまでできますか?

A1. 無料プランでは、個人の下書きファイル(Drafts)を無制限に作成できます。また、チームプロジェクト内でも3ファイルまで作成可能です。基本的なデザイン機能、プロトタイピング機能、各種書き出し機能はすべて利用できます。個人での学習や小規模なプロジェクトであれば、無料プランでも十分活用できます。

Q2. ずっとPhotoshopでWebデザインをしてきましたが、Figmaに乗り換えるべきですか?

A2. 一概に「乗り換えるべき」とは言えません。Photoshopは高度な画像編集や複雑なグラフィック作成に優れています。一方、FigmaはUIデザインの効率化とチームでの共同作業(コラボレーション)に特化しています。現在の作業で「修正指示のやり取りが非効率」「複数人での作業が多い」と感じているなら、Figmaの導入を検討する価値は非常に高いです。

Q3. Figmaは、デザイナーからコーダーへのデザイン指示(ハンドオフ)にも使えますか?

A3. はい、Figmaはデザインのハンドオフ(引き継ぎ)に非常に優れています。閲覧権限(無料)を持つコーダーは、Figma上のデザイン要素を選択するだけで、その要素のサイズ、色(カラーコード)、余白(マージン)、さらにはCSSコードのスニペットまで自動で確認・コピーできます。これにより、仕様書の作成コストを大幅に削減できます。

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